旅人ハルキ

I've been traveling since the day after my high school graduation ceremony.

僕がなりたかった人


高校生の時にある映画を見てから
憧れの人について考えるようになった。


当時の僕は進路を決めなくてはならない
大切な時期を迎えていた。


今まで何も考えず、なんとなく学校に通い、
めんどくさいと思いながらも授業を受けていた。


そして突然、自分の将来について考えろ
と言われても、何も分からない。




とりあえず自分に聞いている。

将来何がしたいのか。

どうなりたいのか。


答えは全く返ってこない。




自問自答を繰り返す中で、
出口の見えない暗闇に迷い込んで、


気が付くとそこにはいつも
暗い顔をした自分がいた。



そんな中、先生に進路希望調査といって
1枚の紙を渡された。

そこには30項目位の
仕事や進学に関する選択肢が並んでいた。




サラリーマンにはなりたくない。

とてもつまらなそうだ。
という先入観が僕にはあった。


とりあえず公務員に丸をして提出した。



別に公務員になりたい訳じゃない。
でも他のどれもやりたいことはない。

その方が家族も喜ぶし、そんなもんだろう。



将来の事を考えれば暗くなるばかり。

大人はみんなつまらなそうだ。



なりたくない大人になるぐらいなら、
いっそ命がけでアホなことを沢山しようか。


そんな勇気もないが、
このままただなんとなく
生きるのだけはまっぴらごめんだ。




俺は旅人に憧れた、

あのどこまでも自由な姿に。


自分で道を切り開いていく生き様に。





いろんな世界を見に行きたくなった。

色んなことを経験して
自分の知らないことを知りたくなった。




自分の見識を広げて、

自分にしか出来ないことを見つけたくなった。



色んな世界を見に行きたくなった。


今までの人生じゃ、
出会うはずのない人たちに会いに行きたくなった。


色んな話を聞きたくなった。


その先にいる自分にしか見えない景色が沢山あるだろう。




僕は人間力が大事だと、旅をし始めてからよく思う。




僕の中にはいくつかのルールがある。



今まで出会ったすごい人は、
みんなとても優しかった。


とてもいい人だな。と思って、
それから何をしているのかの話になると、

びっくりするようなスケールの大きい人ばかりだった。




こんな感じの人が、そんなことできるの!?
と驚くことが何度もあった。



そんな人になりたくて、
僕も人間力を磨く努力をしていた。


靴を揃える。
ちゃんと挨拶をすること。
先輩を立てること。
立場をわきまえること。
文句を言わないこと、

などなど、
とてもシンプルなこと。


だがこれが、なかなか難しい。






直島で出会った大工さんが、

この島に来て、
一番の収穫は嶋津君に出会えたことだよ。
と言ってくれた。


彼は冗談で言ったのかもしれないが、

今までの努力が実ったような気がして、
僕は嬉しくなった。



自分の事を話したのは、最後に、
嶋津君は、趣味は何ですか?と聞かれ。

登山です、と話しただけ。



今までは夢が人をキラキラさせると思って、
聞かれても無いのに色んな人に夢を語っていた。



夢を語ると、
すごい!頑張って!応援するよ!などと言われ、
魅力的な人になった気分になる。


だがそれは 夢で自分を飾ってるだけ。



特に何も話さず、一緒に大工仕事をしてるだけでも
出会えてよかったと言ってもらえたのは
僕にとってとても大きな収穫だった。





たまに出会える。
特に何もしてないのに、また会いたいなって思う人。


一緒にいたいなと思う人。
そんな人に少し近づけた気がして嬉しかった。



これからも当たり前を大切にしていこうと思う。